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YOSHI

KEITH HARING Art to the Streets

2024.01.15

2024年の初ブログはKEITH HARINGでスタート。
皆様今年も1年お付き合い頂けると嬉しいです。


1980年代のニューヨークのストリートカルチャーにおいて、最も影響力のある存在ともいうべきキース・ヘリング。
最近ではCOACHやユニクロがコラボをしたり、死後30年以上経った今でも人気の衰えないアーティスト。

そんなキース・ヘリングの作品が集う展覧会が六本木の森アーツセンターギャラリーで12月9日(土)より開幕。
POP UP的なイベントはちょこちょこ開催されていた印象でしたが、国内で彼の巡回展が開催されるのはなんと約20年ぶり!! 6章からなる展示構成で約150点もの作品が展示されているとのこと。

ということで、速攻でチケットを入手し行ってきました。

第1章「Art in Transit 公共のアート」

ヘリングは1980~85年にかけて、ニューヨークを中心とした地下鉄駅構内に作品を制作。

1980年の終わりごろ、ニューヨークの地下鉄駅構内の空いた広告版に貼られていた黒い紙にチョークでアートを描くアイディアがとっさにひらめいた彼は、すぐさま一番近い文房具屋にチョークを買いに走ったそう。
アルバイト先への通勤途中に始められたこの制作。後に「サブウェイ・ドローイング」と呼ばれるこの作品は、シンプルながら個性あふれるアートが多くの人の目に留まり、次第にニューヨーカーを魅了していきます。

しかし人気が高まるにつれドローイングが剥がされ売買されるようになってしまったため、1985年で「サブウェイ・ドローイング」は幕を下ろしてしまいます。

黒い模造紙に描かれたドローイングの総数は数千点に及ぶといわれていますが、違法行為のため駅員によって処分されてしまったり、模造紙にチョークという材質上保管が難しく現存するものは少ないそう。
そんな貴重な「サブウェイ・ドローイング」もこの展覧会では見ることが出来るんです。

第2章「Life and Labyrinth 生と迷路」

こちらは、1988年へリングがなくなる2年前に描かれた作品。
ある写真家がイーストリバーのフェンスによじ登るへリングの姿を撮影、その写真を反転しその上にドローイングを重ねています。

いわゆるへリングらしいドローイングとは一線を画すちょっとおどろおどろしい雰囲気を感じる作品です。
HIVの蔓延するニューヨークにおいて、生きている喜びと死への恐怖を抱えながら創作活動を行っていた頃のようです。

第3章「Pop Art and Culture ポップアートとカルチャー」

クラブシーンが盛り上がっていた80年代のニューヨーク。
へリングにとっても音楽は欠かせないもので、数多くのレコードジャケットを制作しています。

有名どころだと左上のDavid Bowieのシングル『Without You』のジャケットも手掛けています。

「サブウェイ・ドローイング」で一躍有名になったたヘリングは1982年「Tony Shafrazi Gallery」と契約。
それまでは紙にドローイングを描くことが多かったへリングですが、このころからシルクスクリーンやリトグラフといった版画などに興味を持つようになります。

ブラックライトで光る蛍光塗料を思いついたのもこの頃。

この踊る妊婦の作品は1983年に開催された個展で発表されたもの。
会場の地下で音楽を流し、ディスコのような空間に展示されていたようです。

へリングがもっとも尊敬していたアーティストの一人がアンディ・ウォーホル。

そんな尊敬するウォーホルの姿と大好きだったミッキーマウスを掛け合わせたキース・ヘリング オリジナルのキャラクター「Andy Mouse」。
作品にはヘリングとウォーホル2人のサインが入っていました。

4章:「Art Activism アート・アクティビズム」

大衆にダイレクトにメッセージを伝えるためにポスターという媒体を使ったへリング。
テーマは社会的なものから「SWATCH」などとのコラボレーション広告といった商業的なものまで多種多様。

1989年にエイズと診断され、1990年エイズによる合併症で31歳の若さで亡くなった彼。

エイズ拡大に無関心な政府に警鐘を鳴らすため、「見ざる・聞かざる・言わざる」の三猿をモチーフにした「Ignorance=Fear. Silence=Death(無視=恐怖、沈黙=死)」を制作。

1988年「楽しさで頭をいっぱいにしよう!本を読もう!」

これはニューヨーク公共図書館の依頼で識字率の向上のために制作された作品。
へリングの作品の中でも特に好きなポスターです。

5章:「Art is for Everybody アートはみんなのために」

子供が大好きだったへリング。
心の内にあるものを素直に自由に表現できる創造力、ユーモア、エネルギーを持った子供たちこそ、シンプルな線で描いたドローリングを理解してくれると思ったそう。

この20枚からなるシリーズ《赤と青の物語》は子どもたちのための作品。
絵画の連なりから1つのストーリーを想像する視覚言語が用いられた代表的な作品です。

第6章 : 「Present to Future 現在から未来へ」

17点の「ブループリント・ドローイング」。

1980年に制作したドローイング作品を、亡くなる1カ月前に版画で再制作したもの。
不平等や争いがはびこる社会や、テクノロジーが人間を支配するような未来をモノクロームで描いています。
色々と考えさせられる作品です。

1990年「イコンズ」

亡くなる1990年に制作された5枚組の版画作品。
中央の通称ラディアント・ベイビーはへリング作品の中でも最も有名なモチーフ。
亡くなる2日前、最後の力を振り絞ってやっとの思いで描いたのもこのラディアント・ベイビーだったそうです。

キース・ヘリング展いかがだったでしょうか。
ボリューム満点のブログとなりましたが、私が特に気になった作品を中心に紹介してみました。

展覧会には有料で音声ガイドがありますが、作品を分かりやすく解説してくれるのでお勧めです。
作品と合わせて聞くことで、意外と知られていないへリングの人生の歩みを感じることも出来ました。

KEITH HARING Art to the Streets
開催期間 2023年12月9日~2024年2月25日
会場   森アーツセンターギャラリー

『巡回情報』
神戸会場:2024年4月27日(土)~6月23日(日)
福岡会場:2024年7月13日(土)〜9月8日(日)
名古屋会場:2024年9月~11月(予定)
静岡会場:2024年11月~2025年1月(予定)
水戸会場:2025年2月~4月(予定)

日本初公開の作品等が見れるまたとない機会。
このブログを見てちょっとでも興味の沸いた方は、是非足を運ばれてみて下さいね。

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